12月10日付の日経新聞の記事によると、政府・与党が個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛け金上限額を引き上げる調整に入ったとのことです。この改定が実現すれば、多くの方にとって嬉しいニュースとなる可能性があります。しかし、2025年に出口大改悪の可能性も!!
改定内容の詳細
日経新聞の記事を引用すると以下のような内容です。
政府・与党は個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の掛け金の限度額を引き上げる調整に入った。企業に勤める人がイデコと企業型確定拠出年金(DC)を併用した場合の合計限度額を月7000円上げる方向だ。
この改定により、以下のような変更が予定されています:
- iDeCoの掛け金上限額が増加
- 自営業者やフリーランス:月6.8万円 → 月7.5万円
- 会社員:企業型年金とiDeCoを合わせた上限額が月5.5万円 → 月6.2万円(iDeCo分の月2万円制限が撤廃)
この改定により、さらに多くの資金を非課税で運用できるようになり、老後資金をより充実させることが可能になります。
節税メリットのシミュレーション
例えば、フリーランスの方が今回の改定で月額7000円の掛け金を追加で積み立てる場合を考えてみましょう。年間8.4万円の掛け金増加となり、税率20%と仮定した場合の節税額は以下の通りです。
- 年間節税額:8.4万円 × 20% = 1.7万円
- 30年間の合計節税額:約51万円
さらに、この年間8.4万円を年利5%で運用すると、30年後には以下の金額が期待できます。
- 元本:250万円
- 最終残高:570万円
- 利益:320万円(非課税対象)
これにより、掛け金が所得控除になることで得られる節税額と運用益が非課税であることによる節税額を合わせると、総額115万円以上のメリットが得られる計算です。
会社員の場合、これまでの上限額(月2万円や月2.3万円)が大幅に引き上げられることで、さらに大きな節税効果が期待できます。
iDeCo「改悪」と言われる背景
一方で、「iDeCo改悪」という声も聞かれます。これは、来年度の与党税制改正大綱で議論されている控除期間ルールの変更に起因しています。
現行ルール
- iDeCoの一時金を受け取った後、5年空けて退職金を受け取る → 退職所得控除をフル活用可能
改正案ルール
- iDeCoの一時金を受け取った後、10年空けて退職金を受け取る必要がある → 計画的な受け取りが必要
この改正案が実施されると、控除の最適活用が難しくなるケースが出てくる可能性があります。
賢い制度活用のポイント
今回の掛け金上限引き上げは朗報であり、非課税枠が広がることで投資効率を高める大きなチャンスです。しかし、改正案の控除期間ルールには注意が必要です。
iDeCoを活用するコツ
- NISAとの併用:資金拘束のないNISAと組み合わせることで柔軟性を確保
- 受け取り計画の検討:控除期間を踏まえ、受け取りタイミングを計画的に設計
これらのポイントを押さえることで、iDeCoの恩恵を最大限に享受することが可能です。
まとめ
iDeCoの上限引き上げは、節税効果を高めるための大きなチャンスです。NISAと組み合わせて賢く運用し、老後資金を効率よく準備しましょう。また、「控除期間の延長」には注意し、計画的な受け取りを心がけることが重要です。
制度をしっかり理解して活用すれば、節税効果と運用益を最大化できるでしょう。これからの制度変更に注目しながら、着実に準備を進めていきましょう。
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